飲み屋さんのカラオケで、だれの入曲予約もなくて、ピタっと店内が静まり返ることがある。
それまで切れ目なく、10何曲も連続して曲が、あるいは客がにぎやかな歌声を店内に響かせていたのに、急にそれが止まると、かえって入曲しずらくなり、どの曲を入れようかと逆に迷ってしまう。
この、一時的に訪れた静寂を破って歌い出すというときは、自分も周りも酔っ払っているとはいえ結構、気を遣う。
紅白歌合戦 第2部 スタートの最初に歌う歌手の気持ちといっていい。
選曲には充分気を遣わなければならない。
そんなときに私が歌うのはこの 蝋人形の館 。
まあスナック行ってこの曲知らないって客はまずいない。 聖飢魔U のあまりにも有名なナンバー。
デーモン小暮サンになりきって歌いきったときに、拍手もらわなかったことは一度もない。
このナンバー、カラオケでは、イントロにセリフが入っているものと、そうでないものとがある。 経験上、セリフ入りのほうがウケがいい。
セリフというのは 「……毎夜、毎晩、少女の悲鳴が聞こえるとか、聞こえないとか…」 だ。 楽曲の印象、インパクトをより一層強力にする効果がある。
どうせ酔っ払っているんだから、テレずにおもいっきりやろう。
セリフの最後は 「オマエも! 蝋人形にしてやろうかァ〜!!」。
もし私が陪審員に選ばれたならば、極悪人に向かって叫ぶ言葉になるかもしれない。
いや、○○議事堂 の中の人 に向かって叫ぶ言葉かもしれない。
冗談はさておき、いつぞやこのナンバーがツボにはまってスナックのお客さんがみんな喜んでくれたとき、店の請求書がいつもの半額だったときがあった。
「え、ママ、間違えてるよ」 と言ったが、「いいの、いつもアリガトネ」と言ったママの顔は孝行息子を見るそれだった。
いや、これはホントのハナシ…
今、6月だから、梅雨過ぎて、夏を迎えたときにこのナンバーはツボにはまりやすい。